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台湾で暮らす犬猫における重症熱性血小板減少症候群の有病率を算出した研究

投稿者:武井 昭紘

重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome、SFTS)は、マダニが媒介するウイルスによる感染症で、ヒトは勿論のこと犬、猫、産業動物、野生動物にも健康被害を発生させることで知られている。しかし、日本の隣国である台湾では、犬猫の感染状況が分かっていない現状があるという。果たして、同国で暮らす彼らはSFTSウイルスに感染しているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アジアの大学および動物病院らは、約1年4ヶ月(2022年2月~2023年6月)に渡って犬猫から730件以上の血液(血漿または血清)サンプルを収集しSFTSウイルスのRNAを検出する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆台湾で暮らす犬猫におけるSFTSウイルス感染状況◆
・犬のサンプルの約76%は動物病院を訪れた個体であった(①)
・対して約24%は保護施設に居る元ストリートドッグであった(②)
・猫のサンプルの約70%は動物病院を訪れた個体であった(③)
・対して約30%はTNRプログラムで捕獲された個体であった(④)
・母集団全体の有病率は23%であった
・犬の有病率は約26%で、猫は約19%であった
・①と③の有病率(約17%)と比べて②と④の有病率(約40%)は有意に高かった
・④の有病率(約24%)に比べて②の有病率(約54%)は大幅に高かった
・①と③において特筆すべき臨床症状は血小板減少症のみであった
・③において血小板減少症を発症したグループの有病率(45%)は発症していないグループの有病率(約5%)よりも有意に高かった

 

上記のことから、一般家庭して飼育されている犬猫よりもストリートキャットや保護犬の有病率が高く、中でも保護犬のそれは取り分け高いことが窺える。よって、今後、オーナーの居ない犬猫の有病率を下げる方法について議論され、死亡するヒトが後を絶たないSFTSに対する防疫対策が強化されることに期待している。また、血小板減少症を呈した犬猫の診察では、一度はSFTSの可能性を検討することが望ましいと思われる。

犬と猫から検出されたウイルスRNAの配列は99.3%~100%の割合で類似していたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38140579/


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