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過去に抗生剤を処方された犬猫の角膜潰瘍に焦点を当てた細菌検査に関する研究

投稿者:武井 昭紘

抗生剤が処方される細菌性感染症では、常に耐性菌の出現リスクが伴う。そのため、処方をするにあたり、薬剤感受性試験を行って適切な抗生剤を選択することが重要とされているのだ。そこで、疑問が浮かぶ。過去の病気で抗生剤を処方された場合、その後の薬剤感受性試験の結果は変わるのだろうか。また、変わるのだとしたら、何が要因となっているのだろうか。抗生剤の適正使用を議論し耐性菌の出現を抑える上で、これらを明らかにする必要があるものと思われる。

 

冒頭のような背景の中、ユトレヒト大学は、過去7年間にて角膜潰瘍を主訴に大学附属動物病院を訪れた犬猫からサンプルを採取し、細菌培養および薬剤感受性試験を実施する研究を行った。すると、160件以上のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆細菌検査の結果◆
・犬の59%、猫の39%が細菌培養陽性となった
・主にブドウ球菌、連鎖球菌、緑膿菌が検出された
・以前に抗生剤点眼を処方された犬猫では陽性数が有意に少なかった
・クロラムフェニコールを処方された症例からは同薬剤に耐性を持つ細菌が検出されやすかった
・時間経過と耐性菌の発生率に関連はなかった(犬と猫全体)
・2012〜15年よりも16〜19年において多剤耐性菌の発生率は有意に増加した(犬)

 

上記のことから、以前に抗生剤を処方されたことのある犬猫の角膜潰瘍からは細菌が検出されにくくなるようだが、検出された場合はその抗生剤に耐性を持っている場合があることが窺える(クロラムフェニコールのケース)。また、犬の多剤耐性菌に限ると年を経るごとに増加していることも分かる。よって、細菌が検出されない症例では抗生剤を使わないことは勿論のこと、過去に抗生剤を処方された症例では再発するごとに薬剤感受性試験を実施することが望ましいと思われる(再発する原因を探ることも重要)。

症例の内訳は、リンク先の論文をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36878893/


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