胸骨傍リンパ節(Sternal lymph nodes、SLNs)は、胸部・胸郭、縦隔、胸腺、肩甲部、横隔膜、腹壁・腹腔などと繋がっているとされている。それを念頭に置くと、これらの領域に腫瘍性病変が発生した場合においてSLNsが腫脹すると仮説が立てられるのだ。つまり、裏を返すと、SLNsの腫脹を臨床検査で検出すれば腫瘍の存在を疑えるかも知れないと言えるのである。
冒頭のような背景の中、ベルギーのゲント大学は、CT検査でSLNsの腫脹が確認された犬における腫瘍の発生状況を調べる研究を行った。すると、60例のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。
◆ 胸骨傍リンパ節の腫脹を認める犬が抱えている腫瘍◆
・50%の症例が胸部に腫瘍を抱えていた
・次いで32%は腹部、10%は前肢(主に肩甲部)、8%は全身性に腫瘍が存在していた
・52%の症例が肉腫、25%が癌腫、23%が独立円形腫瘍であった
・SLNsの不均一なコントラストは肉腫の症例に多かった
・SLNs以外のリンパ節の異常所見は独立円形腫瘍の症例に多かった
上記のことから、SLNsの腫脹は多種多様な腫瘍の存在を示唆していると言える。また、不均一なコントラストを示すSLNsは肉腫である可能性が高いことが窺える。よって、今後、悪性腫瘍を抱えている犬における有病率(SLNsの腫脹)を算出し、各腫瘍を鑑別するSLNsの画像診断(機械学習も含む)の確立を目指す研究が計画されることに期待している。

猫に関しても同様の研究が進められることに期待します。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36337196/


