ニュース

動脈血栓塞栓症を呈した猫の予後と血液ガスとの関係について解析した研究

投稿者:武井 昭紘

動脈血栓塞栓症(arterial thromboembolism、ATE)は、肥大型心筋症の猫の最も一般的な死因の一つで、罹患猫の生存率を33~39%と下げる病的現象である。一方で、酸塩基平衡の異常は、重度の慢性腎不全や消化管の閉塞を抱える猫の死亡率と関連しているとされている。つまり、ATEを発症した猫においても、何らかの酸塩基平衡の異常が起きているかも知れないという仮説が立てられるのだ。では果たして、実際のところは。それを突き詰めた研究が、タイのチュラロンコーン大学より発表された。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆動脈血栓塞栓症を呈した猫の予後と血液ガスとの関係◆
・ATEを発症した猫47匹を対象にして血液ガスおよび電解質を測定した
・最も一般的な異常所見は代謝性アシドーシスであった
・34mmHgを超える静脈血の二酸化炭素分圧(PvCO2)の増加は死亡リスクと関連していた

 

上記のことから、静脈血の血液ガス分析は、ATEの猫の予後を推測する有用な指標と考えられる。よって、今後、この分析が死亡リスクの高い罹患猫を発見するために役立てられるとともに、34mmHgをオーバーするPvCO2を示した症例の死亡率、そして、生存率を算出する研究が進み、代謝性アシドーシス以外のどのような臨床所見が死亡率を上げるのか、また、その死亡率を下げる治療とは何かについて議論が深まり、当該疾患を抱える猫が1匹でも多く命を取り留める治療法が確立されることを願っている。

本研究では、5歳齢を過ぎている個体、エノキサパリンとクロピドグレルが併用されている症例の死亡リスクも高いことが分かっております。但し、この併用は初診時から7日以内の死亡リスクを低下させることにも関連していたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34754877/


コメントする