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クロピドグレルに反応しない肥大型心筋症の猫が持つ遺伝子

投稿者:武井 昭紘

7匹に1匹が発症するとされる猫の肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy、HCM)では、心臓内に血栓が形成される場合がある。そして、この血栓が心臓から出て血管に詰まり、痛み、麻痺、突然死を引き起こすのだ。そのため、罹患猫に抗血栓療法(クロピドグレル)が適応されるのである。しかし、ある研究によると、20%の症例が同療法に抵抗性を示すと言われている。そこで、疑問が一つ浮かぶ。果たして、これらの「抵抗性」の理由とは一体何であろうか。

冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学は、クロピドグレルによる治療がなされたHCMの猫を対象にして遺伝子学的な解析を行った。なお、同研究では、クロピドグレルを生理活性物質に変える酵素①シトクロムP450、および、その物質が結合する②ADP受容体の遺伝子(①:CYP2C41、②:P2RY1とP2RY12)に焦点が当てられている。すると、P2RY1に認められたA236Gという変異がクロピドグレルへの抵抗性と関連しており、この変異が同薬の血小板機能を阻害する効果を減少させていることが明らかになったとのことである。

上記のことから、P2RY1に生じた遺伝子変異A236Gが「抵抗性」の理由だと考えられる。よって、今後、同変異を有する罹患猫に有効な抗血栓療法を開発する研究が進められ、塞栓症に苦しむHCMの猫が1匹でも多く減っていくことを願っている。

本研究には、49件の症例が参加したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34131167/


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