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治療反応性が悪い慢性歯肉口内炎を抱えた猫に感染しているウイルス

投稿者:武井 昭紘

猫の慢性歯肉口内炎(feline chronic gingivostomatitis、FCGS)は、感染症、免疫異常、腫瘍などを原因として発症すると言われている。しかし、現在の獣医学において統一した見解はなく、『当該疾患の原因は不明』と考えている研究者も居るのが実情である。また、FCGSを抱える症例の中には、治療に対する反応が悪い個体が含まれていることが知られている。つまり、未知の原因が治療反応性と関わっており、それが明らかになっていないが故に有効な治療法が開発されていないとも考えることができるのだ。

そこで、アメリカの大学および動物病院らは、FCGSを罹患した猫の口腔内の環境を微生物学的に調べ、その分析結果を臨床上健康な猫のそれと比べる研究を行った。すると、90%以上の症例からカリシウイルスが検出されるとともに、約40%の症例からネコフォーミーウイルス(野生動物のピューマから分離されたことのあるウイルス)が検出されることが判明したという。加えて、このネコフォーミーウイルスは、治療に対する反応が悪い症例の約70%、臨床上健康な猫の約26%に感染しており、抜歯術に反応する症例には感染していないことが確認されたとのことである。

上記のことから、ネコフォーミーウイルス(あるいはカリシウイルスとの同時感染)は、FCGS症例の治療反応性に関与していることが窺える。よって、同ウイルスの働きを抑え込む治療法が考案され、その有用性を検証する研究が進められることを期待している。そして、抜歯術が「FCGSを根治させる治療法」となる未来が訪れることを願っている。

カリシウイルスは臨床上健康な猫から検出されなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/ajvr.82.5.381


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