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犬のクッシング症候群の診断を効率化するための機械学習

投稿者:武井 昭紘

クッシング症候群は、犬に良くみられる一般的な内分泌疾患である。しかし、その症状は多飲多尿、腹部膨満、筋力の低下、脱毛など非特異的なもので構成されており、これらを頼りに診断をすることが時に難しい場合があるのが現状だ。また、確定診断に至るまでの時間と費用は、罹患犬のオーナーに大きな負担となることが否めない。つまり、より効率的かつ経済的に診断する手法の確立が、当該疾患の診療レベルを向上させると言えるのである。

そこで、イギリスの王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、機械学習(過去のデータを学習して、目の前に居る症例に診断を下すアルゴリズムを構築する技術)を用いて、90万匹以上の犬(クッシング症候群の検査を受けた犬は約940匹)の診療記録を解析する研究を行った。すると、クッシング症候群はメス、9歳以上の犬、特定の品種(ビション・フリーゼ、ヨークシャー・テリア、ジャック・ラッセル・テリア)に起きやすいことを明らかにするとともに、当該疾患を感度71%および特異度82%で診断するアルゴリズムを作り出すことに成功したとのことである。

上記のことから、「費用対効果の高い(低コストな)」クッシング症候群の診断法の確立が目前迫ってきていると言える。よって、今後、同アルゴリズムの精度を上げる研究が進められ、感度・特異度がともに高い診断法が完成することを期待している。そして、当該疾患に気が付かずに、あるいは、嵩張る検査費に頭を抱えながら愛犬の体調に悩むオーナーが1人でも減ることを願っている。

機械学習を含めた人工知能は、これからの獣医学の発展には欠かせないものだと思います。

 

参考ページ:

https://www.nature.com/articles/s41598-021-88440-z


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