発作性ジスキネジアは、アイルランド原産のソフトコーテッド・ウィートン・テリア(Soft coated wheaten terriers、SCWT)を始めとする様々な品種において遺伝性に発症する運動障害(四肢や頭頸部に突発的な筋緊張亢進)で、炭酸脱水素酵素などを細胞膜に固定するグリコシルホスファチジルイノシトール(glycosylphosphatidylinositol、GPI)の合成過程で働く酵素をコードする遺伝子PIGNの変異と関連しているとされる疾患である。つまり、当該疾患の発症には、炭酸脱水素酵素が深く関与していると考えられるのだ。そのため、ある仮説を立てることができる。緑内障の治療に用いられる炭酸脱水素酵素阻害薬の一つ、アセタゾラミドが当該疾患に奏効するのではないかという仮説が。
そこで、アメリカの獣医科大学らは、PIGNに変異を有するSCWTとその血を引く犬を対象にして、アセタゾラミドと抗てんかん薬の効果を比較する研究を行った。すると、アセタゾラミドを投与された症例の80%以上において、後肢の屈曲や伸展、体感の姿勢異常などの症状が改善する(60%以上で症状が消失する)ことが判明したとのことである。対して、抗てんかん薬各種で治療されたグループの改善率は30%に満たないことも分かったという。
上記のことから、アセタゾラミドは、発作性ジスキネジアの治療薬になり得ることが窺える。よって、今後、同薬剤の用法・用量を決定する研究が進められ、「てんかん」と誤診されやすい発作性ジスキネジアに罹患した犬を救う、新しい内科療法が確立されることに期待している。

抗てんかん薬が効かない「てんかん」の症例の中に、アセタゾラミドが効く症例がどれ程存在しているのか、ひいては,発作性ジスキネジアに罹患した犬がどれくらいの割合で混ざっているのかを調べる研究も進むことを願っております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33593494/


