尿の腹腔内漏出は、膀胱破裂などの尿路の損傷に伴って発生し、尿が体外へ排泄されずに体腔へ漏出することに伴って尿毒症を起こす疾患である。また、無治療では亡くなってしまうリスクを抱えることになるため、尿を排泄する機能を取り戻す治療を施すべく、入院加療とすることが通例となっている。そこで、一つの疑問が浮かんでくる。治療内容によって、症例の予後は変わるのだろうか。また、生存率を左右するファクターは何か存在しているのだろうか。
そのような背景の中、イギリスとカナダの大学らは、尿の腹腔内漏出が確認された猫50匹以上を対象に、退院まで生き延びる可能性を左右するファクターについて調べる研究を行った。なお、同研究では、シグナルメント、症状、原因、破裂や損傷の有無と場所、尿培養、尿石の有無、診断当初の血液検査(PCV、クレアチニン、カリウム)に加えて、尿道カテーテル、膀胱留置カテーテルおよび腹部ドレーンの使用歴のデータが集積されている。すると、症例の70%以上が無事に退院し、クレアチニンの上昇のみが「その予後」を悪化させることが判明したという。
上記のことから、尿の腹腔内漏出を疑う猫を診察する際は、いち早くクレアチニン濃度を把握することが重要であると言える。よって、当該疾患の予後を判定するクレアチニンの参照値が設定されるとともに、同濃度を低下させた症例の予後は改善するか否かを検証する研究が進められることを期待している。

本研究は、高次診療施設(1ヶ所)が所有する約13年分の診療記録を基にしているとのことです。
参考ページ:
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1098612X20932267


