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犬のGME・NEに対するチロシンキナーゼ阻害薬の効果を期待させる組織学的研究

投稿者:武井 昭紘

自己免疫疾患の治療という分野において、近年、チロシンキナーゼ阻害剤(tyrosine kinase inhibitors、TKIs)が注目を集めている。例えば、落葉状天疱瘡。この病気に罹患した犬にTKIsを投与すると、デスモグレイン-1に対する抗体が減少し、重症度も低下するとした研究が報告されている。一方、話は変わるが、犬が発症する肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(granulomatous meningoencephalomyelitis、GME)および壊死性脳脊髄炎(necrotizing encephalomyelitis、NE)は、ヒトの自己免疫疾患である多発性硬化症(multiple sclerosis、MS)に病態が似ているとされているのだ。つまり、自己免疫疾患に近い、あるいは、そのものかもしれないGMEやNEにもTKIsが奏効するといった仮説が立てられるのである。

そこで、韓国とアメリカの獣医科大学らは、GMEまたはNEを抱える犬7匹から得られた組織学的サンプルを用いて、チロシンキナーゼ活性を有するplatelet-derived growth factor receptor (PDGFR)-α、PDGFR-ß、vascular endothelial growth factor receptor (VEGFR)-2、c-Abl、c-Kitの発現の有無を調べる研究を行った。すると、全ての症例が前述した何か(VEGFR-2を除く)を発現していることが判明したとのことである。

上記のことから、GMEおよびNEにもTKIsが効くのではないかと推測できる。よって、今後、当該疾患の犬にTKIsを投与する試験が実施され、その有効性と安全性が検証されていくことに期待している。

7匹中6匹にて、列挙した因子のいずれかを共発現していたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32585777/


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