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心疾患の犬における腎前性高窒素血症をSDMAを用いて考察した研究

投稿者:武井 昭紘

犬が発症する心臓病の代表格に僧帽弁疾患(Myxomatous mitral valve disease、MMVD)がある。そして、当該疾患を抱える症例の一部には、時折、高窒素血症が発現することが知られているのだ。一方、話は変わるが、人医療において、重度の心不全を患ったヒトでは、腎不全を早期に発見できるマーカーである対称性ジメチルアルギニン(symmetric dimethylarginine、SDMA)が上昇するという現象が確認されている。と、ここで一つの疑問が浮かぶ。心不全に陥ることもあるMMVDの犬では、どのようにSDMAは変動しているのだろうか—–。

 

そのような背景の中、イタリアとスイスの大学らは、臨床上健康な個体とMMVDの個体を含む犬の母集団を対象にして、血清中SDMA濃度を測定する研究を行った。すると、MMVDを有する犬の間、ACVIMのガイドラインに沿って分類したステージの間、肺高血圧症の有無で分けたグループの間、いずれにも有意差は認められなかったとのことである。

これを受け、同大学らは、MMVDの犬に起きている腎パネルの変動は「腎前性」である可能性が高いと結論付けた。よって、ヒトとは異なり犬のMMVDでは、SDMAは病態を把握するためのマーカーになり得ないことが窺える。果たして、これは、犬の循環器疾患全般で言えることなのか。今後の研究の進展に期待したい。

本研究では、X線検査および心エコー図検査で評価するMMVDの重症度と血清中SDMA濃度は相関関係にはないということも判明しております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32870923/


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