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アトピー性皮膚炎に対する免疫療法の投与経路に関する研究

投稿者:武井 昭紘

世界各地で、多くの犬とそのオーナー、加えて、担当獣医師を悩ませる疾患の一つに、アトピー性皮膚炎(canine atopic dermatitis、cAD)が挙げられる。そして、この病気は、オクラシチニブなど、皮膚の炎症を抑える薬剤の投与によって治療されることが多いが、根本の原因から治療するという視点に立つと、特異的アレルゲン免疫療法(Allergen-specific immunotherapy、ASIT)をもって治療することが理想的であるとされている。しかし、ASITにおいて、最適なアレルゲンの投与経路については、まだ議論の余地が残されている。

そこで、チューリッヒ大学は、cADの犬30匹を対象に、①皮下、②リンパ節内、③舌下という3つの経路からアレルゲンを投与した時のASITの効果を比較する研究を行った。なお、同研究では、痒みを評価するスケール(pruritus Visual Analog Scale、pVAS)、cADの重症度を判定する指数 (Canine Atopic Dermatitis Extent and Severity Index、CADESI)、投薬スコアによって、症例の経過およびASITの効果が観察されている。すると、病状が改善した症例の割合が、①では17%、②では60%、③では14%であったことが判明したとのことである。

上記のことから、②によってアレルゲンを投与することが、最もASITの効果を引き出すことが窺える。よって、今後、母集団を増やした追加研究が計画されるとともに、本研究で実施されたリンパ節内投与がガイドラインとして纏められることに期待している。

本研究で言う「改善」とは、CADESI <12、PVAS <2.5、投薬スコア<10の条件を満たすことを意味しております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32537789/


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