犬の胃拡張・捻転症候群(Gastric dilation-volvulus、GDV)は、何らかの原因によって、内腔にガスが貯まって胃が拡張したり、胃が捻じれる病的現象で、酸塩基平衡および電解質の異常や血行障害による組織の壊死を伴いつつ、致死的経過を辿る消化器疾患である。そのため、GDVの診療では、「致死的経過を阻む」ような処置を施すこともさることながら、罹患犬の予後を左右するファクターを詳細に把握することが重要だとされている。
そこで、ドイツ、ポーランド、オーストリアに隣接するチェコ共和国に位置するブルノ獣医科薬科大学(University of Veterinary and Pharmaceutical Sciences Brno)は、GDVの犬の胃壁が壊死していることを示唆するファクターについて解析する研究を行った。なお、同研究には、大学付属動物病院を訪れたGDVの犬75匹が参加しており、各症例ごとに胃壁の壊死の有無が確認され、血液pH、血液中の乳酸、重炭酸塩、無機リンの濃度が測定されている。すると、胃壁が壊死している症例では、壊死していない症例に比べて、血液pHと重炭酸塩濃度が低下し、乳酸と無機リンの濃度が上昇していることが判明したとのことである。
上記のことから、今回紹介した研究で測定されている項目の数値の変動は、GDV症例における胃壁の壊死と関連していることが窺える。よって、今後、この壊死を推測し、外科手術の術式を検討するための血液検査パネルが開発されることを期待している。

本文献には、GDV症例の生死と、酸塩基平衡および電解質の異常との関連性も記載されておりますので、ご参照下さい。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32482282


