犬の前十字靭帯断裂(cranial cruciate ligament、CCL)は、あらゆる犬種で起き得る一般的な病気で、跳躍や急な方向転換に伴う靭帯の断裂や靭帯の変性に伴って発症する整形外科疾患として知られている。故に、この靭帯が断裂する要因を詳細に解析し、発症予防法を確立することは、今後の獣医学の発展にとって大変に重要なことであると言えるのだ。
そこで、カナダのオンタリオ獣医科大学および世界的なペットフード製造会社ヒルズは、①CCLの犬と②整形外科疾患に罹患していない犬を対象にして、両者の体重、ボディコンディションスコア(BCS)、マッスルコンディションスコア(MCS)、体組成(二重エネルギーX線吸収測定法による脂肪、骨、水、筋肉の割合の算出)を比較する研究を行った。すると、②に比べて①では、体脂肪率が高く、MCSが低いことが判明するとともに、①の罹患肢は対側肢よりも脂肪が多く、軟部組織が少ないことが明らかになったとのことである。
上記のことから、①の体や患肢は、高い体脂肪率と少ない筋肉量で構成されており、それがCCLの発症に関与している可能性があるものと考えられる。よって、今後、まだCCLを発症していない個体を集め、体脂肪率の低下とMCSの改善が当該疾患を予防する効力を発揮するか否かについて検証されていくことに期待している。

①と②の母数は、それぞれ30匹ずつであったとのことです。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32357267


