『金属製のワイヤーを飲み込んだ。』
このような主訴とともに、11ヶ月齢の雑種犬が、カリフォルニア大学付属動物病院に運ばれてきた。診察の結果、不幸中の幸いと言うべきか、当初の身体検査には、目立った異常が認められなかった。
しかし、数日後、入院中に異変が起きた—–。
なお、症例報告を行った同大学によると、この症例は左胸に痛みを訴え、前足に体重を乗せて起き上がることが出来なくなり、跛行を認めたというのだ。そして、『左の腕神経叢にトラブルが?』そう疑った担当医は、罹患犬のCT検査を実施して、膿瘍と神経炎を伴う左腋窩に、および、幽門から十二指腸へ移行する付近の大網に金属製の異物を発見したとのことである。
今回紹介した一連の事象を受け、カリフォルニア大学は、誤食された異物が時間経過とともに移動して、その先で病変を形成する病態が存在しており、突然の跛行を呈する症例では「異物」を鑑別リストに加えるべきだと警鐘を鳴らす。よって、初診時に問題が見当たらない異物を疑う犬を診察する際には、再診を約束した、あるいは、入院管理下での経過観察という判断を下すことが重要である言えるのではないだろうか。

(画像はイメージです)
本症例の犬は、異物を外科的に摘出され、再発することなく良好な経過(術後8ヶ月の時点で電話によるフォローアップ)を辿ったとのことです。
参考ページ:
https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.256.6.696


