猫コロナウイルス(feline coronavirus、FCoV)は、感染個体の糞便へと排出される特徴を有しているとともに、突然変異を起して病原性が強くなり、感染した個体の10%に致死的経過を辿らせる猫伝染性腹膜炎(feline infectious peritonitis、FIP)を生じさせる病原体として知られている。そのため、理論的には、罹患猫の体内からFCoVを排出することを阻止すれば、同居猫へのウイルスの伝播を抑え込み、FIPの発症を未然に防ぐことが可能となる。
そこで、世界各地の大学および動物病院らは、FIP治療薬として販売されているMutian®Xraphconn(Mutian X)に着目して、この薬剤におけるFCoV排出抑制効果の有無について検証する研究を行った。なお、同研究には、多頭飼育している世帯から29匹のFCoVに感染している猫が参加しており、彼らの糞便へ排出されるウイルスをPCR検査にて観察している。すると、Mutian X 4mg/kg q24hの用量で4日間以上の投薬することで、罹患猫からのウイルス排出が停止することが判明したとのことである。
上記のことから、Mutian Xには、FCoV排出抑制効果があるものと思われる。よって、今後、この効果を実現するための用法・用量がガイドライン化され、同薬剤が多頭飼育世帯における集団感染の抑止に使用される未来が訪れることに期待している。

86%の症例で4日間、14%の症例で4日間以上のMutian Xの投与により、糞便からのウイルス排出が止まったとのことです。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32220667


