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牛・豚・猫に感染するTritrichomonas foetusを遺伝子学的に解析した研究

投稿者:武井 昭紘

Tritrichomonas foetusは、鞭毛を有する原虫に属する微生物で、豚の鼻腔内で片利共生しているとともに、牛の生殖器に感染し、包皮炎、不妊症、流産などを起こす病原体として知られている。また、一方で、この原虫は、小動物臨床で非常に良く診察する機会のある猫の消化管にも寄生して、下痢症を引き起こすともされているのだ。つまり、T. foetusは、①豚の鼻腔、②牛の生殖器、③猫の消化管と、種を越えて、感染部位までも変えて、哺乳類のライフサイクルに喰い込んでいるのである。それは、まるで、「T. foetus」とヒトが一括りに分類したことを完全に否定し、各々が、全く違う生き物なのだと静かに強く主張してるかのように思う程に—–。

 

そのような背景の中、スイスのベルン大学らは、Tritrichomonas foetus感染症をより深く理解するために、①②③から得られたサンプルを用いて、それぞれからT. foetusを分離し、遺伝子学的に比較する研究を行った。すると、①と②では約70種類の遺伝子配列の違いを認めたことに対して、①と③、②と③では、65000以上にも及ぶ差異(900倍を超える差異の多さ)が確認できたとのことである。

上記のことから、①と②は遺伝子学的に近縁で、①②と③は遺伝子学的に「遠い」と言えるのではないだろうか。果たして、これらの相違点が意味するところとは。今後進められるかも知れない更なる研究にて、明らかになっていくことに期待したい。

三者三様の遺伝子配列から発現するタンパク質にも差異が存在しているのかについて検証が行われると、新しい知見が得られるのかも知れません。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32109482


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