人類は600万~700万年前まで自然の動植物を狩猟採集し、食料とし てきました。やがて、約1万年前から農耕と家畜飼育による食料生産に移ります。現在では、鑑賞動物「ペット」として人間の生活圏で共存し、お互いに癒しを共有する関係にもなっています。
ペットには犬猫のほかにも、フェレット、ロップイヤーラビット、デグー、モルモット、ファンシーラット、ギリシャリクガメなど、様々なペットが私たち人間に癒しを与えてくれます。
動物と触れ合う事で、心が落ち着いたりストレスが軽減するなどの癒し効果があることから、「アニマルセラピー」として医療関係にも用いられています。特に少子高齢化が進む中、施設に入居する人が増え刺激が少なくなり活動が制限される中、入居者には躁うつ状態や認知症が進み暴力や暴言が増えてきます。施設で過ごす入居者の方々が、犬などと触れ合うことで会話や笑顔が増え、表情の変化などの改善も見られるなど、 ペットによる効果は高く評価されています。
家庭でも同様で、ペットと触れ合いや散歩することでドーパミンやβエンドルヒィンなどの神経物質が分泌され、認知症の予防や散歩により運動機能の改善、血圧の低下等が認められ、社交性も出てくるとされています。また、ペットと暮らしている人は、ペットと暮らしていない人と比べて、男性で0.44歳、女性で2.79歳寿命が延びるというデーターもあり、死亡率も下がるといいます。
ペットが私たち人間にとって心を通わせる存在である一方、ペット自身の命の保証と安全が日本では保証されていません。海外ではペットショップはありませんが、日本ではペットはあたりまえのように販売され、「物」として扱われる風潮が続いています。
2019年では繁殖から小売りまでの流通過程で死亡した数は犬1万8792匹、猫5679匹。劣悪な繁殖環境がその原因とされ、虐待も増加傾向にあります。警察庁によると、2019年動物虐待摘発件数105件、内訳猫66件、犬27件とされています。
今年6月に施行された動物愛護法の改正では、動物虐待の厳罰化、虐待の罰則は「懲役2年以下、罰金200万以下」というもので、改正ポイントは生体販売の規制強化でした。動物愛護法は動物の「愛護」と「管理」を柱とした法律ですが、ペットの置かれた現状を改善するためのものなのです。
人間の独りよがりのペット飼育を改善し、「人間の癒しとしてのペット」と「ペット自身の癒し」に繋がる関係をつなげていくために、ペットの命を預かる動物医師にも啓蒙の役割を願います。
コラム参照
「介護のほんね」
https://www.kaigonohonne.com/guide/home/life/animaltherapy「ドメスティケーションの考古学」
https://www.soken.ac.jp/file/disclosure/pr/publicity/journal/no13/pdf/30-35.pdf「日本アニマルセラポー協会」
https://animal-t.or.jp/html/about-animaltherapy/more-animaltherapy.html「アニマルライツセンター」
https://arcj.org/<コラム>ペットの癒しと人間の癒し(写真:PhotoAC>



