子犬が咳をしている、息が苦しそうなどを主訴として、呼吸器のトラブルを診察する場合、①先天性の心臓病や②感染症を第一に疑うかも知れない。しかし、小動物臨床における呼吸器疾患(成犬を含む)は、気道・消化器の奇形、腫瘍、外傷、中毒など、多岐に渡る原因が挙げられるため、「若齢犬で呼吸器だから…」といった先入観は、可能な限り意識して、排除することが大切である。
そこで、テネシー大学は、肺捻転に調査対象を絞り、子犬での症状について研究を行った。同大学によると、子犬の肺捻転では、非特異的症状(元気消失、呼吸困難、貧血、白血球の増加)が主体であるとのことで、臨床症状だけでは①や②と区別することは、非常に困難と言える。
肺捻転は、肺の一部が捻れ、血管や気管の物理的な閉塞を生じるため、斃死のリスクを伴うが、外科手術で良好な経過を辿る。今回紹介した研究を基にすれば、該当する非特異的症状を呈した子犬に遭遇した際には、「手術で救える可能性」を真っ先に検討または除外していく意識を持つことが重要ではないだろうか。
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