小動物臨床では、画像検査(CT、MRI、内視鏡など)や外科手術を実施する場合に、ペットに全身麻酔をかけることが通例であり、麻酔中は体温、心拍数、呼吸数などをモニタリングする必要がある。このようなモニタリング項目の中には、カプノメーターを用いた二酸化炭素分圧(EtCO2)のチェックも含まれるが、麻酔深度や呼吸速度の影響を受けて、不安定な(信憑性の低い)モニタリングとなってしまうことがある。
そこで、スペインのコルドバ大学は、袋状の構造を有する臓器(胃、膀胱)で体内の気体の動きを観察できるトノメトリー法にて、全身麻酔下の犬をモニタリングする研究を行った。同研究では、全身麻酔で血圧をコントロール(①正常範囲、②低血圧、③低血圧を薬剤で補正)したビーグル14匹が用意され、胃内二酸化炭素分圧(PgCO2)と膀胱内二酸化炭素分圧(PbCO2)が測定されている。そして、PgCO2、PbCO2のデータは、同一個体の血中乳酸濃度と血液中ガス分圧(酸素消費量)と比較された。すると、PgCO2およびPbCO2は、血中乳酸濃度、血液中ガス分圧と相関していることが明らかとなり、PbCO2(膀胱内)に比べて、PgCO2(胃内)の方が、より強い相関を示していることも確認できたとのことである。
上記のことから、PbCO2およびPgCO2は、動物の「呼吸状態に依存しない」二酸化炭素分圧のモニタリング法として有用であると考えられる。今後、更なる研究が進められ、トノメトリー法が小動物臨床に応用されることに期待したい。その際に、多様な外科手術に対応できるように、呼吸(気道)、胃、膀胱での酸素分圧や二酸化炭素分圧の測定を選択できる医療機器が開発されると理想的であると思う。

頭部から胸部にかけての外科手術において、安定的な二酸化炭素分圧測定法として、トノメトリー法が確立されていくことを願っております。
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