犬の食物有害反応(adverse food reactions、AFR)は、食事に含まれる成分に対する拒絶反応であり、皮膚の痒み、下痢、嘔吐などの症状を呈するする免疫疾患である。このAFRの治療は、薬物療法(二次感染への対応を含める)や食餌管理を主体として、進められることが通例である。しかし、既存の治療法が奏功しない場合や経済的理由等により中長期的な療法食の使用が継続できない場合には、AFRの臨床症状に苦慮する症例となっていまう。
そこで、ベルギーのゲント大学は、ヒトの花粉症および犬のアトピーの治療に用いられている舌下免疫療法を犬のAFRに応用した食物アレルゲン特異的舌下免疫療法(Food allergen-specific sublingual immunotherapy、FA-SLIT)の検証を行った。同研究には、犬のAFR症例が参加しており、①FA-SLIT群と②プラセボ(FA-SLITを実施しない)群に分けられた。そして、サイトカインの分析によって、FA-SLITの効果が評価された。すると、②に比較して、①ではIL-10およびIFN-γの濃度が上昇しており、「AFRが起きにくい生体内環境」が整備されることが明らかとなった。
上記のことから、FA-SLITには、犬のAFRを軽減または解決する可能性が秘められていると考えられる。今後は、中~大規模な臨床研究でデータを蓄積して、その有用性を実証することが課題である。将来的に、生涯に渡る長期戦となるかも知れないAFRの治療に、新たな選択肢が誕生することに期待したい。

視点をかえることで、既存の様々な治療法の新たな可能性を模索することは、獣医療の発展に繋がるかも知れません。
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