家畜伝染病の病原体である結核菌は、犬に感染することが知られており、昨年もイギリスにおいて、牛型結核菌(Mycobacterium bovis)に罹患した犬の症例が報告されている。この結核菌は、人獣共通感染症(zoonosis)の一つであり、万が一にでも、一般家庭の犬が結核菌に感染した場合には、早期診断・早期治療が非常に重要となる(「発症前に」感染の有無を確定することが理想的である)。
そこで、グラスゴー(英)の動物検査会社であるbiobest社は、犬の結核菌感染症の早期確定診断を行うためのサービスを提供している。同社は、発症よりも前に結核菌を検出できる抗原特異的インターフェロン-γ遊離検査 (Interferon-Gamma release assay、IGRA)という手法を採用している。さらに、この検査法は、非病原性のBCG菌(閲覧されている方で予防接種を受けたヒトもいるかも知れない)や非結核性抗酸菌(結核病変を作らない病原体)に反応しない特徴があり、結核菌を特異的に発見することが可能なものである。仮に、獣医師がIGRAを検討する感染症例に遭遇した場合には、ヘパリンで処理をした血液(冷蔵保存)を2mL用意すれば、当該検査が実施できる。
今後、日本において、犬の結核菌感染症例が確認される事態となれば、ペットオーナーおよび愛犬の行動範囲にいるヒトや大動物(産業動物)への拡大が予測される。特に、牛への感染は、削痩および乳量の減少といった経済的損失が大きいため、結核菌に感染した犬が報告される前(もしくは発症前)の段階で、「獣医療におけるIGRA」を日本国内でも実施できる体制を整備し、検疫・防疫方法の検討を進めることが望ましいのではないだろうか。

日本国内における感染例が報告されて(表面化して)から対策を検討するのではなく、海外の症例に基づいた早期の防疫・検査方法の確立が重要であると思います。
参考ページ:
http://www.biobest.co.uk/diagnostics/species/dogs.html
http://www.riid.or.jp/contents/igra/about-igra/(IGRAについて)


