犬の長管骨の骨折は、手術後の過度な運動、固定具(ピン、プレート、ボルトなど)による血行障害、術後合併症(感染)などを原因として「骨癒合不全」を起こすことがあり、犬のQOLの悪化、ペットオーナーの経済的な追加負担、獣医師の悩み・ストレス・プレッシャーの増加といった多くのデメリットを発生させてしまう。そして、万が一、犬の骨折症例が骨癒合不全に陥った場合には、再手術(固定具を取り除く)、感染のコントロール、外固定法の改善・修正を施すこともできるが、全ての骨癒合不全が治癒経過を辿る保証はないのが現状である。そのため、骨再生医療を含めた「骨癒合を促進させる治療法」を様々な視点から確立させていくことが重要である。
そこで、カリフォルニア大学は、骨癒合不全を起こした犬の長管骨骨折9例(骨折部位は11カ所)に対する組み換え型ヒト骨形成タンパク(recombinant human bone morphogenetic protein、rhBMP-2)の効果について検証を行った。同研究には、rhBMP-2に加えて、骨の形成をサポートするためのcompression resistant matrix(CRM)という医療材が採用されているという特徴もある。その結果、11カ所の骨折は全て、中央値10週間(7~20週間の範囲内)で治癒経過を辿ることが明らかとなった。
上記のことから、rhBMP-2とCRMの組み合わせによる骨再生医療は、犬の骨癒合不全を安定して治癒させる手技となる可能性があるかも知れない。今後は、①症例別(骨折部位、骨折の形状など)または犬種別による治療成績の相違点の研究、②大規模な臨床研究(今回の研究は11例であったため)、③CRMの製品化、④rhBMP-2とCRM用いた治療法ガイドラインの確立を経て、小動物臨床(一次診療)に応用されることを期待したい。

上記のような幹細胞療法以外の骨再生医療を確立させることは、ペットオーナーの選択肢を増やすと同時に、動物病院の設備投資にも多様性をもたらす効果があると思います。
参考ページ:
https://vcot.schattauer.de/en/contents/archivestandard/issue/2465/manuscript/27052.html


