世界各地の獣医科大学は、自国の防疫、文化(動物園、水族館、競馬など)、産業(食肉を含む食品全般)を管理して、伝染病の蔓延防止、絶滅危惧種の保存、食品衛生の徹底を実現するために獣医師を育成することが第一の目的として設立されている。そのため、自国における獣医師の活動ではなく、国外へ目を向けて世界へ飛び立つことを希望する場合には、「自主性・主体性」に任されており、その手段の開拓や必要な資金の調達は、自身が持つ力(活動力、交渉力、語学力など)のみが頼りであることが一般的である。
しかし、アメリカのカンザス州立大学は、Student International Travel Awardsというシステムを導入しており、同大学の学生が「国際的に」活躍ができるようにサポートしており、過去の実績は以下の通りである。
◆Student International Travel Awards◆
1.ベルギーのゲント大学への留学
2.タイやインドでの畜産業および保健衛生事業への参加
3.ペルーにおけるラマの飼育管理
4.ナミビアでの狂犬病に関する教育および予防プログラムへの参加
上記のように、獣医学部に所属している学生に「世界を視せる」ことは、将来的に自国に欠如(または忘れている)している獣医学の知識やシステムを改めて認識する機会となり、自国の獣医療の「進化」をもたらす可能性を秘めているかも知れない。今後、日本でも、緊迫する世界情勢の中で国際貢献を果たすために、そして飽和状態とされている小動物臨床に新たな獣医療サービスを提唱するために、政府と教育機関が一体となって、カンザス州立大学のような国際社会で活躍する獣医学生を輩出して、世界的視点から日本の獣医療業界に利益を還元できる獣医師を育成する制度の確立が必要となってくるかも知れない。

現在の日本の獣医学における獣医師の選択肢(大動物臨床、小動物臨床、研究機関、公務員など)に縛られることなく、世界標準の獣医療サービスを開拓していくことを教育機関としてサポートすることは、これからの獣医師を養成する上で、重要なことであると思います。
参考ページ:
http://www.vet.k-state.edu/international/travel_awards/studenttravelawards.html


