人医学および獣医学において、副作用の強い薬剤の一つとして、抗癌剤が挙げられる。そのため、抗癌剤が製品化されるまでには、慎重かつ厳格な研究や臨床試験を実施する必要がある。そして、日本では厚生労働省、アメリカではFDAの承認を受けることができれば、ある一定基準の安全性を確保しているとして、広く一般的に使用される治療薬としての地位を確立する可能性が高まることになる。
2014年2月、パクリタキセルという抗癌剤が「条件付き」でFDAの承認を受けた。
パクリタキセルは、細胞内小器官である微小管の働きを阻害して、細胞分裂を抑制することで抗癌作用を発揮するとされた薬剤であり、犬の乳腺腫瘍や扁平上皮癌の治療薬として期待されていた。また、「条件付き承認」というのは、有効性を認めた研究が報告された段階ではあるがFDAの承認条件を完全に満たしていない薬剤に対して、販売や臨床で使用ができる限定期間(最大5年間)を定めて、その期限内に承認条件を満たす研究データをFDAに提出することを求められる状態のことである。
しかし、条件付き承認から3年後である2017年2月8日、FDAはパクリタキセルの承認を取り消すことになった。これにより、アメリカの獣医療では、パクリタキセルの販売および使用が禁止されることになるため、当該薬剤を使用している罹患犬の治療プロトコルは変更を余儀なくされる。仮に、パクリタキセルが奏功している症例がいるとすれば、大きな不安材料ができたことになる。
上記のことから、病気を抱える犬猫の治療方法が「突然」消失してしまわないためにも、条件付き承認を受けている薬剤に関しては、承認が取り消されても対処ができるように、代替薬剤の候補を常に検討しておく必要があると考えられる。

臨床現場で治療の選択肢が奪われるペットが増えないように、各国の薬剤承認のシステムの一部を見直すことも必要かも知れません。
参考ページ:
http://veterinarynews.dvm360.com/canine-cancer-drug-loses-conditional-fda-approval


