ヨークシャーテリアは、スコットランドでラットの捕獲のために飼育されていた犬を祖先として、その後イギリスに移り、品種として確立した。元気が良い性格は、非常にヒトに可愛がられる特徴として知られている。しかし、大型犬への攻撃性も持ち合わせており、外科治療が必要なほどの大怪我を負うこともある。
日本においても、ヨークシャー・テリアの飼育頭数(動物病院に来院する頭数)は多いと思われる。そこで、診察で見落とさないようにするために、ヨークシャー・テリアの罹患しやすい疾患を以下にまとめる。
1.低血糖症
特に幼齢期に起きやすい現象で、グルコースをグリコーゲンに変換する酵素の欠損によって発症する遺伝性疾患である。重症例では、救急処置を必要するほどに瀕死の状態になるため、初めて犬を飼うというペットオーナーには、情報提供をすることが望ましい。
2.肝臓疾患
門脈シャント(PSS)の好発犬種として知られている。また、門脈シャントと類似した症状を示す肝門脈微小血管異形成(門脈低形成)を罹患する場合もある。食欲不振や嘔吐、異常な行動を繰り返す場合は、肝臓疾患を疑うと良いかも知れない。重症例では、肝性脳症を起こし斃死することもある。
3.心臓疾患
小型犬には非常に多く発生する弁膜症をヨークシャー・テリアも罹患しやすい。とくに僧帽弁の粘液腫様変性による僧帽弁閉鎖不全症(MVI、MR)を起こしやすい。慢性進行性の心不全症状を発症すれば、QOLが悪化するため、身体検査において心雑音が認められた場合は、ペットオーナーへの定期検査を提示することが良いかも知れない。
4.乳歯遺残
心臓疾患と同様に小型犬に多い疾患で、ヨークシャー・テリアも該当する。乳歯が残っている状態で生活をしていると、重度の歯周病となるリスクを抱えるため、抜歯を検討することが推奨される。
5.神経疾患
軸椎の歯突起の欠損による環軸関節の不安定化(環軸椎亜脱臼)に伴って脊椎が圧迫され、四肢麻痺などの症状が認められる。症状は慢性的であり、進行性である。
6.尿路疾患
シュウ酸Ca結晶による結晶尿、尿石症、腎結石症を起こしやすい。膀胱炎症状や食欲不振などが継続する場合には、尿路の精査を実施することが理想的である。
上記のようにヨークシャー・テリアだけとってみても、注意するべき多くの疾患がある。忙しい臨床現場においてペットの異常(病気)を見落とさないためにも、診察の中で、一つずつ確認して、可能性のある疾患を除外・特定していく作業が重要である。

様々な犬種がランダムに来院する動物病院において特定の犬種の疾患を見逃さないチェック機構があると診療レベルが格段に上がると考えられる。
参考ページ:
http://veterinaryteam.dvm360.com/recognized-risks-yorkshire-terriers?pageID=2


