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僧帽弁閉鎖不全症の犬で増大する左心負荷を軽減する減圧術

投稿者:武井 昭紘

僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁が完全に閉鎖しないことに起因して血流に変化が生じ、左心系に負荷が発生する循環器疾患である。そのため、当該疾患を外科的に治療するのであれば、異常な僧帽弁を人工弁などに置換して、この負荷を軽減することが試みられるのである。そこで、疑問が浮かぶ。外科手術の主な目的が、左心系の負荷の軽減にあると仮定するならば、弁置換術の他にも有効な手段があるのではないだろうか。

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学および動物病院らは、ACVIMが提唱するステージ分類においてCまたはDに該当し、且つ、急性の肺水腫を複数回に渡って経験している僧帽弁閉鎖不全症の犬2例に、左房減圧術を適応する研究を行った。なお、本研究で採用された同術式は、バルーンカテーテルも用いたもので、心房中隔に穴を空けて人工的に心房中隔欠損を作成する手法である。すると、2例ともに8ヶ月~10ヶ月後の再診時において、うっ血性の左心不全を示す所見が消失したとのことである。

上記のことから、左房減圧術は、病状が重い僧帽弁閉鎖不全症の犬に適応できる有効な治療法になり得ることが窺える。よって、今後、同術式の安全性、合併症、費用対効果を調べる研究が進み、内科療法、弁置換術に肩をを並べる選択肢になることを期待している。

本研究の対象となった症例は、ジャック・ラッセル・テリアとキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39968809/


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