胆汁が腹腔内に漏れると、そこには腹膜炎を起こす可能性が生じる。また、この炎症に感染が合併すれば、敗血症のリスクも発生してしまうのだ。そのため、胆汁性腹膜炎は外科手術の対象になる。つまり、いざ治療となれば麻酔、手術、出血のリスクを負うことになるのである。そこで、疑問が浮かぶ。手術に際して死亡してしまう可能性はどれ程あるのだろうか。
冒頭のような背景の中、カナダの大学および動物病院らは、過去7年間(2015年〜2021年)に胆汁性腹膜炎に対する手術を受けた犬の診療記録を解析する研究を行った。なお、同研究では、胆汁性腹膜炎と確定診断が下されており、且つ、手術の報告書が纏められている症例を対象にしている。すると、33例のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。
◆胆汁性腹膜炎に対する手術を受けた犬の臨床データ◆
・全体の死亡率は36%であった
・94%の症例が胆嚢摘出術を受けていた
・高ビリルビン血症、血管収縮薬の投与、腎機能障害、術後合併症の多さによって死亡リスクは上がった
・TBILが60.5μmol/Lを超える症例の死亡率は50%であった
・敗血症の有無は死亡リスクに影響しなかった
上記のことから、特定の条件に合致する症例の死亡リスクが上がることが分かる。よって、これらの症例の死亡率を下げる麻酔、手術、治療について議論され、手術・治療の成績が向上することを期待している。

高ビリルビン血症を迅速に解消する治療法の考案と、その有効性の検証も進むと、死亡率は大きく下がるかも知れません。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39503408/


