犬の副腎皮質機能低下症(hypoadrenocorticism、HA)は、臨床症状、一般的な血液検査、血中のコルチゾール濃度(basal serum cortisol、BSC)を手掛かりに診断される。しかし、内科学の成書に記載されているような典型的な所見が得られない場合、診断は困難を極めるのだ。そのため、より優れた診断法が求められているのである。果たして、臨床症状や血液検査よりも優れた診断法とは一体、何であろうか。
冒頭のような背景の中、イタリアの大学および動物病院らは、尿中コルチゾール濃度(urinary cortisol、UC)と尿中コルチゾール/クレアチニン比(UC-to-creatinine ratio、UCCR)に着目し、120匹以上の犬の臨床データを解析する研究を行った。なお、犬は①臨床上健康なグループ、②HAと診断されたグループ、③HAと似た臨床症状を呈する病気を持つグループの3つに分けている。すると、以下に示す事項が明らかなったという。
◆HAの犬におけるコルチゾールを主体とした血液検査と尿検査の比較◆
・「UCが2µg/dL未満」というカットオフを用いると感度100%、特異度90%で②を判別できた
・「UCCRが8.5 x 10-6未満」というカットオフを用いると感度100%、特異度約72%で②を判別できた
・「BSCが2µg/dL未満」 というカットオフを用いると感度100%、特異度約52%で②を判別できた
・「BSCが1µg/dL未満」 というカットオフを用いると感度100%、特異度90%で②を判別できた
上記のことから、UCまたはUCCRを利用した診断法は血液検査に引けを取らないことが窺える。また、「BSCが2µg/dL未満」 というカットオフに比べれば、高精度だとも捉えることができる(血液検査のカットオフによっては尿検査がより優れていると言える)。よって、HAを疑う症例の採血が難しい場合は、尿サンプルの使用を検討してみると良いかも知れない。

①は42匹、②は20匹、③は60匹で構成されております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39842128/


