「くしゃみ」や鼻汁を呈した動物の診察では、鑑別リストに鼻腔内の異物を含める必要がある。つまり、異物を疑う所見を把握し、その可能性を探ることが求められるのだ。では実際のところ、鼻腔内異物がある動物では、どのような臨床検査所見が得られるのだろうか。
冒頭のような背景の中、イギリスの動物病院らは、鼻腔内異物を認めた犬猫の臨床検査所見を調べる研究を行った。すると、犬60匹以上、猫8匹のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。
◆鼻腔内に異物を認める犬猫の臨床検査所見◆
・症状が継続した期間は犬で平均7日、猫で45日であった
・最も一般的な症状は「くしゃみ」であった(母集団の約65%)
・次いで鼻汁が多かった(62%、①)
・①の約86%は片側性であった
・母集団の約56%でCT検査が実施された(②)
・②の35%のみで異物が可視化された
・②の約83%に片側性の異常所見が鼻腔内に認められた
・最も一般的な異常所見は液体貯留(②の約83%)であった
・次いで粘膜の肥厚(②の約73%)、鼻甲介の破壊(②の65%)が続いた
・母集団の約93%では鼻腔の内視鏡検査で異物が除去された
・母集団の約6%では鼻洗浄で異物が除去された
上記のことから、例え鼻腔内に異物があったとしても、65%の症例のCT検査では異物が可視化できないことが窺える。また、当該疾患では、腫瘍の可能性が頭を過る「鼻甲介の破壊」も起きることが分かる。加えて、大部分の症例のCT検査で非特異的な所見(液体貯留、粘膜の肥厚)が認められている。よって、CT検査で異物自体が発見できなくとも鼻腔内異物を完全に否定することは危険であり、液体貯留、粘膜の肥厚、鼻甲介の破壊を認める症例ではアレルギー、感染、腫瘍、異物を鑑別するための追加検査を検討することが重要だと言える。

CT検査における異物を可視化する精度は、造影剤を使用しても改善しないとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39420675/


