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胃腸炎を抱える犬に対する抗生剤の使用状況と効果について調べた研究

投稿者:武井 昭紘

近年、犬の下痢と抗生剤療法に関する研究の発表が続いており、総じて抗生剤療法は犬の下痢に効果を示さないと結論付けられている。そこで、疑問が浮かぶ。下痢を呈する前段階というべきか、消化管に炎症が起きている犬でも、抗生剤療法は効果が無い、言い換えると「意味が無い」ものなのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学および動物病院らは、過去4年間(2020年〜2023年)においてスウェーデンの動物病院に寄せられた犬の胃腸炎に関する相談(デジタルで保管されているもの)を統計学的に解析する研究を行った。すると、93000件以上のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆胃腸炎を抱える犬に対する抗生剤の使用状況と効果◆
・胃腸炎と診断された犬の約6%で抗生剤の全身投与が実施された
・最も多く使用された抗生剤はアミノペニシリン(全体の60%以上)であった
・年間の抗生剤使用率は4年間で約8%から約4%に減少した
・年間の死亡率も減少した
・入院症例では抗生剤を使用する可能性が高まった(入院をしていない症例の約13倍)
・出血性下痢の症例でも抗生剤を使用する可能性が高まった(約5倍)

 

上記のことから、抗生剤の使用率は年々減少するものの、それであっても死亡率は改善していることが窺える。つまり、抗生剤を使用しなくとも、犬の胃腸炎の多くを治せると考えることができる。また、抗生剤の使用は、胃腸炎の犬の生死に大きな影響を与えないとも言えるかも知れない。よって、犬の消化器疾患の診察では抗生剤の乱用を防ぐべく、その使用の是非(理由、根拠)を慎重に検討して頂けると幸いである。

犬の年齢、品種、病気の重症度、治療による介入レベルはデータの抽出に関係していないとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39744720/


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