頭蓋内に異常を認める動物は、神経学的な問題を抱えることがある。そのため、例え診断や治療が目的だとしても、神経系に作用する麻酔薬の使用には慎重になるべきだと言えるのだ。では実際のところ、そのような罹患犬に麻酔薬を使用すると、どのようなことが起こるのだろうか。麻酔薬一つひとつをとって検証する必要がある。
冒頭のような背景の中、イギリスの動物病院らは、①MRI検査で頭蓋内に占拠性病変が確認された、あるいは、②頭蓋内圧が亢進している犬を対象にして、彼らの静脈内にブトルファノールを投与する研究を行った。なお、同研究では、ブトルファノール投与前、投与後15分間(5分毎に3回)において鎮静スコア(最大値18)と体位(横臥位になるまでの時間)が評価されている。すると、①が認められない犬(スコアは5)に比べて①に該当する犬(スコアは12)のブトルファノール投与から15分後の鎮静スコアが有意に高く、②が認められない犬(約47%)に比べて②に該当する犬(90%)の横臥位になる確率も有意に高いことが判明したという。
これを受け、動物病院らは、ブトルファノール投与から15分後の鎮静スコアが10を超える犬と、投与後15分以内に横臥位になる犬の麻酔では、頭蓋内の異常を想定する必要があると述べる。よって、仮に条件に該当する犬の麻酔に立ち会う時は、プロトコルを慎重に検討し、麻酔管理に集中することをお薦めする。

ブトルファノールは0.2 mg/kgで投与されております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39690053/


