ニュース

全身性炎症反応症候群に陥った犬の予後を判定する赤血球関連のマーカー

投稿者:武井 昭紘

全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome positive、SIRS)は、文字通り全身に炎症が生じる病的現象で、重症になると致死的経過を辿ることがある病気である。そのため、どのような状態の動物が死の転帰となるかを把握し、それを回避する治療法を考案することが獣医学の課題となっているのだ。

 

冒頭のような背景の中、韓国の大学らは、何らかの疾患や造血プロセスのトラブルによって末梢血中に出現する有核赤血球に着目し、SIRSの診断基準を満たした犬の血液を解析する研究を行った。なお、同研究では、貧血を認めない症例に限定している。また、有核赤血球に関して、500個の赤血球に5個以上の有核赤血球が出現した場合を陽性、5個未満の場合を陰性と判定している。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆SIRSの犬の経過と有核赤血球◆
・下記の項目は①有核赤血球陰性例に比べて②有核赤血球陽性例で有意に高かった
1.白血球数
2.好中球数
3.桿状好中球数
4.血清中IL-6とIL-3濃度
5.CRP

・入院時点での有核赤血球陽性は2週間後と4週間後の死亡に関連していた
・①に比べて②の生存期間は有意に短かった

 

上記のことから、一定数以上の有核赤血球の出現は、SIRSを発症した犬の予後を判定するマーカーになり得ることが窺える。よって、今後、予後判定マーカーとしての有核赤血球数の参照値を設定する研究が進み、世界各国に普及していくことを期待している。また、有核赤血球の出現をヒントに新たな治療法が考案され、犬のSIRSの救命率が向上することを願っている。

本研究では、60件以上の症例が解析されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39638638/


コメントする