パルボウイルスに感染し消化器症状を呈した犬は、やがて衰弱して死に至る。しかし一方で、支持療法や自己の免疫力でウイルスに打ち勝ち、生き残る個体も居る。果たして、この差は一体、何であろうか。生死を分けるファクターとは何であろうか。候補を挙げ、一つひとつ検証していくことが感染症学的に重要である。
冒頭のような背景の中、イギリスと南アフリカの大学らは、血液中に含まれるCaとMgに着目して、パルボウイルス性腸炎を起こした子犬の転帰について調べる研究を行った。なお、同研究で測定されたCaは、イオン化Caである。すると、60匹以上のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。
◆パルボウイルス性腸炎となった子犬の血液中のCaとMg◆
・①臨床上健康な子犬と比べて②症例群の入院時におけるCa濃度は有意に低かった
・②のうち死亡した子犬のCa濃度は生存した子犬よりも有意に高かった(入院2日目のみ)
・「入院2日目にCa濃度が上昇すること」は死亡リスクを上げた(約11倍)
・①と比べて②の入院時におけるMg濃度は有意に高かった
・しかしMg濃度は生死を分けるファクターではなかった
上記のことから、「入院2日目にCa濃度が上昇すること」がファクターであると言える。よって、今後、この現象のメカニズムについて研究が進み、そしてCaを補正する治療の有用性について検証され、犬のパルボウイルス感染症の死亡率が減少することを願っている。

Ca濃度とMg濃度は、敗血症の発症と関連していなかったとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39549413/


