ズーノーシスの一つとして知られる皮膚糸状菌症は、その名の通り動物からヒトへ感染が拡大する病気であるため、公衆衛生上重要な感染症であるとされている。故に、ヒトの身近に居る犬猫の皮膚糸状菌症の疫学を把握し、アップデートしていくことが大切なのである。
冒頭のような背景の中、ポルトガルの大学らは、過去12年間において同国全土の動物病院で皮膚糸状菌症疑いの犬猫から採取した被毛・鱗屑サンプルを対象にして、真菌培養をする研究を行った。なお、同研究では培養が陽性となった症例のデータも集積され、統計学的に解析されている。すると、4700件を超えるサンプルから560件以上(サンプル全体の約12%)の症例データが集まり、以下に示す事項が明らかになったという。
◆ポルトガルで暮らす犬猫における皮膚糸状菌症の疫学◆
・北部(約48%)と中央部(約32%)の地域で有病率が高かった
・培養陽性サンプルの約64%からMicrosporum canisが分離された
・次いでTrichophyton属(約20%)、Nannizia gypsea(旧称 Microsporum gypseum、約8%)が多かった
・猫の有病率(約17%)は犬のそれ(約9%)よりも高かった
・ヨーキー、ウェスティ、ミニチュアピンシャー、ダルメシアン、ミニチュアシュナウザーで感染リスクが有意に高かった
・ペルシャ、スコティッシュフォールドで感染リスクが有意に高かった
・性差は無かった
上記のことから、皮膚糸状菌症は特定の地域や品種で感染リスクが上がることが窺える。よって、今後、当該疾患の有病率(感染リスク)を挙げるファクターが纏められ、確固たる防疫対策が考案されることを期待している。

350軒以上の動物病院からサンプルが集められております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39203570/


