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犬の免疫介在性溶血性貧血が再発するリスクを上昇させる臨床検査所見

投稿者:武井 昭紘

犬の免疫介在性溶血性貧血(Immune-mediated hemolytic anemia、IMHA)は文字通り、赤血球の破壊を伴う貧血であり、治療をしたとしても再発するリスクがある疾患として知られている。そのため、赤血球に纏わる血液検査データなどから再発の可能性を予期し、治療方針へと活用することが重要なのだ。では実際のところ、その可能性を予期するファクターとは何であろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの動物病院らは、過去15年間において高次診療施設でIMHAと診断された犬の赤血球や輸血に纏わる数値からファクターを探す研究を行った。なお、同研究では、診断時のPCVが30%未満であることを必須条件として、更に球状赤血球が確認されたこと、クームス​​試験が陽性であること、総ビリルビン値が上昇していること、ヘモグロビン血症であること、凝集反応が陽性であることのうち、2つ以上に該当する場合においてIMHAと診断している。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆犬のIMHAの再発に関連するファクター◆
・163例のデータが集まった
・この症例の中で再発は13件発生した
・診断から3ヶ月での再発率は0.05であった
・診断から12ヶ月での再発率は0.11であった
・輸血をしなかった症例の再発率は0.07であった
・2回以上の輸血をした症例の再発率は0.20であった
・診断のPCVは再発リスクの上昇に関連していなかった
・TBILの高値は再発リスクを有意に上昇させた
・TBILが1 mg/dL上昇する度に再発リスクは0.17増加した

 

上記のことから、診断から時間が経過すること、輸血回数が増えること、TBILが上昇することは再発のリスクを上げることが窺える。よって、これらの条件に合致する症例では綿密なモニタリングをすることが望ましいと思われる。また、再発リスクが高い症例に対する治療法が再検討され、IMHAの治療成績が向上することを期待している。

症例は高次診療施設1軒分ですので、軒数が増えるとファクターにも変動が見られるかも知れません。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39235775/


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