犬のアトピー性皮膚炎は、ヒトのアトピー性皮膚炎のモデルと捉えられることもあり、双方の種においてイエダニが共通のアレルゲンと言われている。しかし、このイエダニへの慢性的な曝露が皮膚に与える影響、特に遺伝子発現と皮膚炎の重症度との関連性は詳しく分かっていないのが現状である。
冒頭のような背景の中、フロリダ大学は、実験的に作出したアトピー性皮膚炎の犬を対象にして、皮膚炎の重症度と彼らの皮膚組織における遺伝子の発現を調べる研究を行った。なお、同研究では、犬に5回アレルゲン(イエダニ)を曝露しており、その曝露をした日(1、2、8、15、29日目)に合せて皮膚組織の生検が実施されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆アトピー性皮膚炎の犬の皮膚組織における遺伝子発現◆
・①トリコヒアリンおよび②ギャップジャンクションタンパク質をコードする遺伝子の発現に目立った変動があった
・29日目の①は0日目に比べて15倍減少した
・①の発現レベルは皮膚炎の重症度と負の相関関係にあった
・1、8、29日目の②は0日目に比べて3倍以上増加した
・②の発現レベルは皮膚炎の重症度と正の相関関係にあった
・アトピー性皮膚炎の既知のマーカーであるIL-31の発現レベルは皮膚炎の重症度と相関していなかった
上記のことから、①と②は犬のアトピー性皮膚炎の重症度を推し量るマーカーになり得ると言える。よって、今後、これらの遺伝子の機能を詳細に調べる研究が進み、当該疾患の診断・治療・予防に新たな見解が生まれることを期待している。

IL-31の発現レベルは8、15、29日目で有意に増加したようですが、皮膚炎の重症度と相関しているとは言えないとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39234173/


