猫伝染性腹膜炎(feline infectious peritonitis、FIP)は、広く一次診療に普及した有効な治療法が無く致死的経過を辿る感染症で、迅速な診断と対症療法にて罹患猫の苦しみを軽減することが重要とされている。そこで問題となることがサンプル採取である。何をサンプルとしてウイルスの検出を試みることが最も効率が良いのか。それを明らかにすることが獣医学の課題なのである。血液か、腹水か、尿か、糞便か、それとも臓器そのものか。果たして、どれなのだろうか。
冒頭のような背景の中、オーバーン大学および世界保健機構(World Health Organization、WHO)は、アメリカ全土から収集した猫のサンプル14000件以上を用いて、PCR検査(猫コロナウイルスの検出)を実施する研究を行った。すると、以下に示す事項が判明したという。なお、本研究で採用されたサンプルには血液、腹水、尿、腎臓、リンパ節が含まれている。
◆PCR検査で猫コロナウイルスを検出しやすいサンプル◆
・腹水は他のサンプルよりも検出率が高かった(オッズ比7.51倍)
・血液は他サンプルよりも検出率が低かった(オッズ比0.08倍)
・尿、腎臓、リンパ節の検出率も高かった
上記のことから、腹水を認める症例では腹水を、認めない(採取できない)症例では尿をサンプルとすることが効率的だと言える。よって、尿サンプルによるPCR検査を組み込んだアルゴリズムが作成され、FIPの診断技術が向上することを期待している。

1歳以下であること、オスであること、純血種であること(特にブリティッシュ・ショートヘア)はPCR検査が陽性になる可能性を高めるということも分かっております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39214139/


