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アメリカで動物医療に従事する獣医師の猫の特発性膀胱炎に対する対応を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

猫の特発性膀胱炎は、①飼育環境や②ストレスを要因として発症する泌尿器疾患で、環境の改善とストレスの軽減に加えて食餌療法で管理することが多い病気である。そのため、診察の際には、①や②について問診する必要があるのだ。また、この問診から適切だと「思われる」治療を考えることが重要なのである。そこで、疑問が浮かぶ。動物医療に携わる獣医師という立場は同じであれ、個々人の信念、思考、性格は獣医師によって様々である。ならば、猫の特発性膀胱炎に対する対応にもバラつきがあるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、オハイオ州立大学は、アメリカで動物医療に従事する獣医師600名以上を対象にして、猫の特発性膀胱炎に対する対応に関するアンケートを実施する研究を行った。なお、同研究では、尿石症や尿路感染症が疑われる症例は除外されている。また、入院症例が含めず、外来で治療した症例のデータが集積されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫の特発性膀胱炎に対する対応◆
・問診内容の75%以上は飼育環境(77%)やストレス(89%)に関するものであった
・回答者の31%は主にヒトと猫の関係性に焦点を当てていた(問診の時間の75%以上)
・69%はその関係性について質問する回数が少なかった(問診の時間の50%以下)
・特発性膀胱炎の急性期は鎮痛剤(89%)、トイレの改善(72%)、フェロモン製剤(70%)によって治療が進められていた
・慢性期は食餌療法(86%)、トイレの改善(84%)、環境の改善(81%)によって治療が進められていた
・治療の成功を妨げる障壁としてオーナーの遵守(指示を守るか、81%)と期待(治療をすれば完全に治る、62%)が挙げられた
・37%は罹患猫を里親に預けることを提案した
・10%は安楽死を提案した

 

上記のことから、猫の特発性膀胱炎は、一般的に言われている発症要因(飼育環境、ストレス)に応じて治療が進められており、そこに痛みを軽減する鎮痛剤が追加されていることが窺える。また、抗生剤療法は適応されていないことも分かる。一方で、里親を探すといった環境改善、安楽死も少なくない。よって、今後、愛する猫を手離すことなく、死別することもないように、成功率の高い治療方法について改めて議論・研究されていくことを期待している。

フェロモン製剤を試したことがない獣医師は、検討(チャレンジ)してみると良いかも知れません。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39163476/


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