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特発性鼻炎を抱える犬の鼻腔内環境を遺伝子学的に解析した研究

投稿者:武井 昭紘

犬が発症する特発性鼻炎は、吸入性の刺激物質やアレルゲンが原因とされている一方で、治療によって完治させることは難しい病気として知られている。そのため、特発性鼻炎の病態を把握して治療法を確立することが獣医学の課題となっている。果たして、当該疾患を抱える犬の鼻腔内では何が起こっているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、コロラド州立大学は、①特発性鼻炎の犬と②臨床上健康な犬の鼻腔内の細胞および微生物叢を遺伝子学的に解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆特発性鼻炎を抱える犬の鼻腔内環境◆
・繊毛に関連する複数の遺伝子が大幅にダウンレギュレーションしていた
・TNF-αやインターフェロンに関連する遺伝子が大幅にアップレギュレーションしていた
・②に比べて①の鼻腔内の微生物叢は大幅に変化していた
・その変化によって病原性細菌が増加していた

 

上記のことから、①と②の鼻腔内環境はことなり、①の鼻腔では炎症・感染が起きやすい状況が発生していると考えられる。よって、今後、特発性鼻炎の引き金と思われる遺伝子のアップ・ダウンレギュレーションの調整をする治療法と、鼻腔内の微生物叢を正常化するプロバイオティクスを確立させる研究が進み、特発性鼻炎が完治の望める病気になることを期待している。

繊毛の機能を改善する治療法が開発されると、特発性鼻炎の治療成績が劇的に向上するかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2024.1385471/full


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