伝染性腹膜炎(Feline infectious peritonitis、FIP)は、猫のウイルス性疾患であり、呼吸器、消化器、神経系、血液、眼などに炎症を含む病変を形成することで致死的経過を辿る感染症と知られている。また、一次診療に広く普及した有効な治療法は無く、対症療法・支持療法のみで加療されることが多い病気でもある。そこで、疑問が浮かぶ。病名にもある通り、FIPは炎症を起こす病気である。ならば、その炎症を抑える薬剤で、例えばプレドニゾロンの投与で経過が良くなるといったことはないのだろうか。
冒頭のような背景の中、タイの大学らは、体腔内に液体貯留を認める猫110匹以上の診療記録を解析する研究を行った。すると、45匹がFIPと診断されており、プレドニゾロンを投与された症例の生存期間(中央値)は31日であることが判明したという。
上記のことから、炎症を抑えるプレドニゾロンはFIPに有効ではないことが窺える。よって、今後、FIP症例の生存期間を延ばす治療法について、更なる議論が尽くされることを期待している。

本研究では、FIP症例の臨床兆候、臨床検査所見についてもデータ化されておりますので、ご興味のある方はリンク先の論文をご参照下さい。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38680809/


