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頬側と舌側の写真を基に犬猫の歯の状態をチェックした研究

投稿者:武井 昭紘

歯牙疾患は、犬猫の一般的な病気の一つに挙げられる。そのため、一次診療施設においても、彼らの歯の状態をチェックすることは重要とされているのだ。しかし、鎮静も麻酔も無しで歯の内側(舌側)の状態を隈なく確認することは容易ではなく、歯の外側の状態を確認するだけに留まることが少なくないのである。つまり、通常の身体検査では、歯に関する情報の半分しか得られないのだ。果たして、この制限は、そして鎮静・麻酔を使用しない歯のチェックではどのような支障が出るのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、韓国の大学らは、1年間(2022年1月~12月)に渡って26軒の動物病院と協力して犬猫の歯を頬側および舌側から撮影し、その歯の状態をチェックする研究を行った。すると、犬では1000匹以上、猫では700匹以上のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆頬側と舌側の写真を基にチェックした犬猫の歯の状態◆
・全体として歯石、変色、エプリス、歯折、歯肉の退縮、歯肉炎、不正咬合、欠歯、乳歯遺残を確認することができた
・犬ではエナメル形成不全も確認できた
・猫では歯牙の吸収も確認できた
・しかし歯折、欠歯、歯牙の吸収などは鎮静・麻酔無し(頬側側のみ)では情報量が劣ると考えられた
・他の品種と比べて短頭種の犬では不正咬合と欠歯の発生率が有意に高かった
・他の品種と比べて短頭種の猫では歯折の発生率が有意に高かった
・反対に歯肉退縮の発生率が有意に低かった

 

上記のことから、鎮静や麻酔無しの状況では、一部の歯科疾患を過小評価する可能性があると言える。また、通常の身体検査では歯の舌側を詳細にチェックすることは難しいことから、情報不足に陥ることも推察できる。よって、歯科疾患が疑われるも身体検査で決定打が得られない症例の診察では、鎮静・麻酔下ではチェックを検討することが望ましいと思われる(鎮静・麻酔のリスクをオーナーと話し合う必要がある)。

歯の異常所見の詳細につきましては、リンク先の論文をご参照ください。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38901457/


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