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イギリスでウサギを飼うオーナーに彼らが感じる痛みを評価してもらった研究

投稿者:武井 昭紘

自然環境の中で、ウサギは被捕食者に該当する。そのため、彼らは捕食者に弱みを見せること、例えば負傷していることや痛みを抱えていることを知らせる訳にいかないのである。つまり、これらの兆候を隠す習性があるのだ。まさに生存本能というべきものだろう。しかし、この習性は、一般家庭で飼育されるとなると障壁になる。オーナーがウサギの痛みに気づけず、動物病院に相談するタイミングが遅れてしまうのだ。そこで、疑問が浮かぶ。オーナーらは、飼っているウサギの痛みを察知できているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ブリストル大学はFacebookを通してウサギのオーナーを募集し、彼らに①アンケートへの回答と②動画の視聴を依頼して、ウサギの感じている痛みの認識レベルを調べる研究を行った。なお、同研究における①ではウサギの飼育環境、オーナーが認識できる痛みの兆候について聴き取り、②では3名の専門家が作成したウサギの動画から分かる痛みのレベル(6つのチェックポイントを4段階で評価するBristol Rabbit Pain Score簡易版を使用)を判定してもらっている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆①の結果◆
・オーナーらは平均で5つの痛みの兆候を列挙した(最少0、最多12)
・男性よりも女性の方が有意に多くの兆候を列挙した
・ウサギを扱う仕事に従事するヒト、痛みを感じているウサギと向き合ったことがあるヒトも同様も多くを列挙した
・回答者の約99%がウサギは犬猫と同等かそれ以上に痛みを感じると考えていた

◆②の結果◆
・約89%の回答者が③痛みを感じていないウサギを認識できた
・約65%の回答者が④重度の痛みを感じているウサギを認識できた
・③④に関しては専門家の評価に同意するヒトが多かった
・約28%の回答者が⑤軽度、約43%の回答者が⑥中程度の痛みを認識できた
・⑤⑥に関しては専門家よりオーナーが過小評価をした

 

上記のことから、オーナーらは③と④を認識できることが窺える。一方で、⑤と⑥を認識することは容易ではないことも分かる。よって、今後、軽度から中程度の痛みを感じているウサギを認識するための、且つ、一般家庭で実践できる疼痛評価スケールが開発され、ウサギの福祉が向上することを期待している。

①は500名の回答者、②は345名の回答者で構成されていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38532474/


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