慢性的な嘔吐と食欲不振を主訴に6歳のラブラドール・レトリバー(不妊メス)が動物病院を訪れた。診察の結果、彼女の腹部超音波検査に不思議な所見が認められた。胃底部から幽門領域にかけて空洞状の構造が存在していたのだ。その数は2つ。大弯と、小弯から幽門にかけての胃壁に空洞が形成されていたという。果たして、彼女に身に何が起きたのだろうか。その正体を突き止めるために試験開腹が行われた。
2つの病変は膿んでいた。肥厚した胃壁に膿瘍が生じていたのだ。胃切開術、膿瘍の切除、デブリードマンが実施された。切除した膿瘍の病理学的検査にて、細菌感染を伴う好中球主体の炎症が確認された。また、一連の病態の元凶は植物性の異物と判明した。
外科手術後、臨床症状は軽減された。以降、経過を追跡した22ヶ月間において、再発はなかったという。症例を報告したアイルランドの大学は、慢性嘔吐を呈し、且つ、胃に空洞状の病変が認められた場合には胃壁の膿瘍を鑑別リストに追加するべきと訴える。もしも、お心当たりのある獣医師は、診断および治療方針の見直しをしてい頂けると有り難い。

膿瘍の詳細な位置はCT検査で確認したとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38441150/


