眼圧が上昇して最終的に失明する犬の緑内障は、特定の品種で好発するとされている。そのため、これらの品種には、緑内障を発症する遺伝的素因が潜んでいると考えられるのだ。つまり、原因遺伝子を見つけ出し、診断法、治療法、予防法を確立することが獣医学の課題と言えるのである。
冒頭のような背景の中、アメリカの大学およびオーストラリアの動物病院らは、眼科検査を受けたアメリカン・コッカー・スパニエルを対象にして、①原発性緑内障と診断されたグループと②緑内障を発症していないグループの遺伝子を比較する研究を行った。なお、同研究では、ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study、GWAS)が採用されており、①では94例、②では111例のデータが集積されている。すると、第10染色体に原因遺伝子が存在することが示唆されたものの、統計学的な有意差は認められなかったとのことである。しかし一方で、原因遺伝子の候補となったCCDC85Aとフィブリン細胞外マトリックスタンパク質 1 (EFEMP1) をコードする遺伝子は、ヒトの緑内障(隅角開放性)に関与していることが判明したという。
上記のことから、アメリカン・コッカー・スパニエルの緑内障には、前述した2つの遺伝子が関わっている可能性があると考えられる。よって、今後、両遺伝子の役割が詳細に分析され、犬の眼科診療が進化を遂げることを期待している。

遺伝子の解析には血液サンプルが用いられたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170212/


