猫が感じている痛みを彼らの表情で推察することができるFeline Grimace Scale(FGS)は、疼痛管理の方針を決定する指標の一つとして利用されている。そして、研究を見ている限り、また、おそらく現場においても、このFGSは成猫の痛みの評価に多用されている印象だ。そこで、疑問が浮かぶ。FGSは、不妊手術という痛みを経験する子猫(若い猫)にも適応できるのだろうか。
冒頭のような背景の中、カナダおよび中国の大学らは、生後10週齢~6ヶ月齢で、且つ、臨床上健康な猫36匹に不妊手術を実施し、彼らが感じている痛みをFGSで評価する研究を行った。なお、同研究では、手術前と術後1~2時間後の猫の表情を動画で撮影し、そこから作成したスクリーンショットを、手術に関する情報を知らない4名の評価者に2度ランダムに見せる形式が採用されている(1回目の評価の5週間後に2回目の評価が行われている)。また、麻酔プロトコルにはオピオイド系鎮痛薬は組み込まれておらず、術後に痛みを訴える猫にブプレノルフィン(0.02mg/kg IM)が投与され、その1時間後の表情が追加で記録されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆不妊手術を受けた子猫で実施したFGSの結果◆
・術前のFGSスコアよりも術後1~2時間におけるスコアが有意に高かった
・オピオイド系鎮痛薬を投与することでスコアは有意に低下した
・評価者間におけるスコアの差は統計学的に大きいものではなかった
・評価者それぞれのスコアはブレることなく安定していた
上記のことから、FGSは不妊手術を受けた子猫の痛みを評価する有用なツールだと考えられる。また、不妊手術に起因する痛みにオピオイド系鎮痛薬は有効だということも分かる。よって、今後、臨床現場で簡単に実践できるFGSツール(アプリや人工知能など)が開発され、猫の疼痛管理が高精度化されることを期待している。

評価に使用されたスクリーンショットは合計で111枚あったそうです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38095930/


