不妊手術を経験した新人獣医師、特に卵巣に分布する血管の結紮が外れて焦った獣医師には、ある悩みが生れることがある。この血管を確実に結紮する方法はないものかという悩みが。広く一般的に用いられている外科結びよりも、確実な結紮法を知りたいという想いが。そこで、本稿では、ベルギーとフランスの動物病院らが発表した研究を紹介したい。
同院らは、卵巣摘出術あるいは卵巣子宮全摘出術に臨む犬猫150匹以上を対象にして、2つの結紮法をそれぞれ左右の卵巣血管に適応し、術中における出血イベントの有無を記録したという。なお、2つの結紮法とは「①外科結び」と「②コンストリクターノット」で、前者は皆様がご存知の通りであり、後者はロープを固く結ぶために考案された技術だ。そして、以下に示す事項が判明したとのことである。
◆卵巣血管の結紮法としての外科結びとコンストリクターノットの比較◆
・①に要する時間(中央値)は犬で69秒、猫で90秒であるのに対し、②は犬で81秒、猫で109秒であった
・犬の不妊手術における出血イベントの発生確率は①で約20%、②で約4%であった
・猫では発生確率に差異は認められなかった
・②で起きた出血イベントの3分の2は結び目を締める時に糸が切れることに伴っていた
上記のことから、糸が切れることにさえ注意をすれば、コンストリクターノットは出血イベントを減らすために有用な結紮法だと言える。つまり、不妊手術における血管の結紮に悩める(新人)獣医師はコンストリクターノットに挑戦してみると、解決の道が開けるかも知れないのだ。コンストリクターノットの流れは、YouTubeで確認できる。興味を持った先生方は、是非視聴してみて欲しい。

本研究では、BCS(ボディコンディションスコア)と出血イベントの関連も調べられており、同イベントが起きた犬のBCSは、起きていない犬のBCSよりも有意に高いとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34559597/


