犬の副腎皮質機能低下症(hypoadrenocorticism、HA)に対する治療法の一つ、DOCP療法は、長時間作用型のミネラルコルチコイドであるデソキシコルチコステロンピバレートを2.2mg/kg q30days(22-25日ごとに投与される場合もある)で投与する治療法である。しかし、この標準的な投与量は、医療費を高額にする可能性を孕んでいるとともに、ある研究によると『過剰投与ではないか』と言われているのが現状となっている。つまり、医療費を抑え、且つ、安全で効果的な治療プロトコルを再考するために、投与量を見直す必要があるのだ。
そこで、ミシガン州立大学は、HAと診断された犬37匹を対象にして、DOCP療法の有効性と有害事象を調べる研究を行った。なお、同研究では、罹患犬を①対照群(標準的な投与量、2.2mg/kg q30days)と②低用量群(1.1mg/kg q30days)の2つのグループに分け、彼らの経過を90日間追跡している(投与前、1-3回目の投与から14日後、1-3回目の投与から30日後にて臨床検査を実施)。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆2つのDOCP療法の有効性と有害事象◆
・両群のNa/Kは32以上で維持された
・尿比重は②(1.033)よりも①(1.022)で低かった
・血漿中のレニン活性は①で抑制され、②で増加した
・①の50%および②の32%に低カリウム血症が起きた
上記のことから、尿比重およびレニン活性を考慮すると、①よりも②の方が効果が高いことが窺える。よって、今後、オーナーの経済的負担の軽減し、安全性と効果をより高める(あるいは維持する)投与量の再考が進められ、DOCP療法が進化を遂げることを期待している。

様々な疾患に対する各治療法の中で高額となりやすいものに関して、オーナーの経済的負担を軽減する投与量の見直しが進められると、小動物臨床は今以上に発展していくかも知れません。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34114259/


