人医療において、低クロール血症は、うっ血性心不全(congestive heart failure、CHF)を抱えるヒトの予後を悪化させる因子であると言われている。しかし一方で、小動物臨床では、低クロール血症とCHFとの関連性は不明となっている。つまり、犬猫において両者の関連性を立証できれば、CHFの予後を判定するマーカーが一つ確立できるのだ。
そこで、ベルギーのゲント大学は、急性のCHFに陥った犬猫80匹を対象にして、低クロール血症の有病率と彼らの経過を追跡する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。
◆低クロール血症の有病率とCHFに陥った犬猫の経過◆
・24%の症例で低クロール血症を認めた
・犬のみではあるが、低クロール血症は「退院時および心不全末期」のフロセミドの用量と負の相関関係にあった
・低クロール血症は入院期間や生存期間を左右する因子ではなかった
上記のことから、①低クロール血症は、治療効果を期待できる②フロセミドの用量を予測するマーカーになり得ることが窺える。よって、今後、①のレベルに応じて②を算出するツールが開発され、犬の急性うっ血性心不全の診療(フロセミドの用量計算)が効率化されることを期待している。

フロセミドの用量(中央値)は、退院時で5.2mg/kg/日、心不全末期で4.7mg/kg/日だったとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34096660/


