細菌感染症に悩まされた人類が生み出した抗生剤は、現在、世界各地で広く利用されている。その結果、不治の病とされた病気を含めて様々な感染症が治療できるものとなった。しかし一方で、人類は、ある問題に悩まされるようになってしまった。薬剤耐性菌の出現、そして、耐性菌に効く新しい抗生剤の開発と「それ」が効かない新たな耐性菌の出現といった「いたちごっこ」に。そこで、この出現を抑えるべく、世界各地で抗生剤の使用方法が見直されているのだ。
冒頭のような背景の中、コロンビアとアメリカの大学らは、メデジン(コロンビアの都市)にて動物医療に従事する獣医師の抗生剤使用状況を明らかにする研究を行った。なお、同研究では、選出された獣医師100人に抗生剤の全身投与を検討するであろう架空のシナリオを提示して、彼らが臨床現場で取り組んでいる抗生剤の経験的使用の実態を調べる形式が採用され、その実態が提唱されているガイドラインと比較されている。すると、以下に示す事項が判明したという。
◆メデジンの小動物臨床における抗生剤使用状況◆
・86%の獣医師は、緊急ではない手術の周術期に抗生剤を使用している
・90%は表在性膿皮症に、52%は下部尿路疾患に、50%は出血を伴う急性の下痢に、46%はケンネルコフに抗生剤を使用している
・下部尿路疾患を例にすると、獣医師の半数のみが薬剤感受性試験を実施している
・24%の獣医師が表在性膿皮症の診察で細胞診を実施しない
・緊急ではない手術の86%、出血を伴う急性の下痢の50%、ケンネルコフの46%で過剰な抗生剤が処方されている
上記のことから、南米コロンビアの都市メデジンの小動物臨床では、乱用とも思しき抗生剤の使用が横行していることが窺える。よって、今後、同都市における耐性菌の出現状況を調べる研究が進むとともに、その状況が抗生剤の適正使用で是正されるか否かを検証する研究が計画されることに期待している。

本研究では、セファレキシンが最も頻繁に使用される抗生剤であることも分かっております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33925855/


